
次に、公然とは、通説では不特定または多数人が認識しうる状態をいう。これも最高裁判所の判例があり、特定・少人数の前でわいせつな行為をした場合であっても、それが不特定・多数人を勧誘した結果であれば、公然だとしている。また、実際に認識される必要はなく、認識する可能性があれば「公然」である。特定少数の者にわいせつ行為を見せた場合であっても、これが不特定多数を勧誘した結果であれば「公然」である。また、特定少数に対してであっても、反復した、あるいは反復する意思があったときも「公然」である。カップル喫茶は見たくない被害者に無理に見せるような露出狂の行為ではないのだが、「営利目的で、見る人の性的満足のためにわいせつ行為を行う」ので、公然わいせつ幇助罪が適用されている(東京地判平8.3.28)。被害者が性的羞恥心を侵害される必要はなく、性器露出行為や性交行為が公然と行われれば公然わいせつ罪が適用される。最近でもハプニングバーが同罪で摘発されている。ハプニングバーは全裸に近い状態で、店内でたまたま出会った客同士が「ハプニング」によって店内でセックスに及ぶという、ハッテン場と形態が似ている施設である。摘発例を見ると、例えば覗き穴やマジックミラー越しに性行為を不特定多数が鑑賞できるような、大規模施設で「公然」と行われるわいせつ行為が摘発を受ける傾向にある。
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