
刑法では「公然わいせつ罪」というものがある。しかし、わいせつという概念が曖昧であって、さらにどうしてわいせつが罪なのか、説明できるだろうか?これがピンとこないのは、このわいせつが罪だという概念自体がキリスト教価値観由来だからだ。宗教的犯罪という概念が世俗化されてわいせつという概念が生まれた。江戸時代、わいせつは罪だっただろうか?公娼私娼が禁止され、赤線青線がなくなったのは戦後のことだ。同性愛は異常性欲で、精神病院に入れられて電気ショック治療を受けた。皆、外からやって来た、比較的新しい価値観だ。わいせつは社会害悪なのか、秩序を紊乱するものなのか、青少年に悪影響を与えるのか。具体的に言えば、例えば全裸の男の写真集を売ったらレ●プ犯が増えるのか、未婚の母が増えるのか、社会全体が堕落頽廃することで経済が停滞するのか、無法地帯になって治安が悪化するのか。風紀が乱れるって何なのか、社会にどういった害悪が生まれるのか、その関連性が説明されていないので、俺はイマイチ、ハッテン場に「公然わいせつ罪」が適用されたことに納得できていない。なんせ被害者がいない。刑法の原則に、「被害なければ刑罰なし」というものがある。また、憲法第13条で個人の自由が保障されている。この摘発は、「明らかに本来個人の自由に委ねられるべき領域と、法律を持って規制すべき領域との境界線を踏み越える」ものであって、「本来最小限の道徳であるべき法律が、個人の自由に委ねられるべき領域に干渉」(東京高判平4.7.13)したものではないかと思っている。
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