
昔の安旅館というのは、今でいうドミトリー、相部屋であって、今のカプセルホテルがほぼ男性専用であるのと同じで、肉体労働者が使うような安い旅館は、男がただ素泊まりで雑魚寝をする木賃宿であった。なので昼間は閑散としているが、当初はその時間を利用して、待ち合わせや休憩という名の下でセックスをする、連れ込み旅館に変わっていった。また、そうした安旅館がハッテン場化し、そういうところでは大浴場のような明るいところである程度相手の様子を窺って、それこそアイコンタクトで布団に潜り込んだところを探り探り行為に及んでいくようなことも行われていた。1970年代に入ると「男性同士の憩いの場」という、男性のみが利用できる連れ込み旅館が登場する。しかし、この時点では、建前では出会いの場としての機能があったわけではなかった。ただ、事実上、ここはハッテン場だと宣言しているようなものであった。
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